絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ

『……』
「ち、ちょっとやめてよ!!」
　香月は携帯を奪い返そうとしたが、伊吹は少し背伸びをして、その手から逃れた。
『……彼女の意思次第ですね』
「それは、彼女のことを軽く考えている、ということですか?」
「もういい加減にして下さい!!　携帯返して!!」
　腕を掴んで体重をかけてきたので、空いた左手で彼女の腕を押さえ込み、「すみません、静かにしていて下さい」と小さく言った。
『……彼女は嫌がっているように聞こえますが』
「会ってお話できませんか?」
『……、彼女がそれを望んでいるのなら』
「香月さん、この方と会って話しをしてもいいですか?」
　真剣に聞いた。
「何でですか!?　やめてください!!　迷惑ですよ!!」
「彼はあなたがかまわないのなら、かわない、と言ってくれています」
「嫌です。私は」
「僕はこれからも引きません。それでもいいですか?」
「私は、あなたとは結婚できません、それは今お話しました。これ以上はなすことはありません」
「子供のことですか?」
「……それもあります」
「それだけでしょう?」