絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ

「……そんな、大げさですよ」
「本心です。本望でもありました」
「……言ったとおり、私には彼氏がいます」
「知っています」
「じゃあ、どうしたいんですか?」
 彼女は厳しい目線で、こちらを見た。
「その彼氏に直談判しに行きましょう。
 それで、僕と、結婚を前提にお付き合いしてください」
 目がまん丸に開くのが分かった。
「なっ……」
「僕は本気です。実は中央区のある土地を一つ、購入しました」
「えっ!?」
「新築の頭金くらいは貯金しています。もちろん、結婚式の費用も」
「えっ、ちょっと……」
「ずっと花嫁を探していた、というよりは、憧れのあなたが忘れられなかったんだと思います」
「……それって……」
「嫌ですか?」
 彼女はしかし、すぐに決意した目を見せた。