絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ

 伊吹が狙っているのが香月なのか、それとも、清水が狙っているのが、私なのか!?
 誰が誰のためにそのような組み合わせになるのか、一瞬で何通りも頭に浮かんだが、どちらにせよ、自分と伊吹であれ、清水であれ、重要な組み合わせであることに間違いはなかった。
「香月さんにはまだ話をしていないんですが、もし、今井さんが来てくださるんなら、参加してくれると思うんです。それで、清水さんなら、今井さんも知っていると思ったので……」
 清水とは昔営業部で一緒だったこともあるが、まあまあ良い方……か。仕事もできる方だし、そこそこしゃべりもするが、深く関わったことはない。
一番重要な点は、まあ、男前ではあるかな……。年は確か同じくらいだったと思う、ということは、今も独身か。
「どうでしょう?」
「えっ、ああ、うん、私は別にいいけど……。けど、どうしてその4人なの?」
「……、今井さんだけには正直に言います」
 その、今まで硬く閉ざしていた表情が、少しだけ和らいだ気がした。
「うん」
「僕は、香月さんと真剣にお付き合いしたいと思ってるんです」
「……」
 ……そっちか……。
 今井は一気に体の力が抜けるのを覚えた。
「それで、今井さんに、少し協力してもらえたらなっ、て……すみません」
 内心は、テーブルクロスを思いっきり引っ張って、全ての食器を派手に落としたい気分だったが、
「……別にいいよ。けど香月さん、彼氏いるよ?」
 今井は強気で言った。