「出資って? オーナー?」
「いや……オーナーはママ。だから……出資だけしてるって話しは聞いたことある。昨日小火があったけど、厨房だけだったみたいだよ」
「誰かが火をつけたのかな?」
「いや、タバコの消し忘れって聞いたけど」
 自分は、高羽にけしかけられたのだろうか。
「……出資してるってことは、やっぱり、そのママともそういう関係なんだろうか……」
 その微妙な間は、明らかに答えを探しているように見えた。
「……まあ、この業界、そういうのも多いけど……」
 そうなんだ……。これがまた、喧嘩の種になる……?
「……私、きっと向いてないのね……そういうの、見過ごせないの」
「聞いてみたら? 本人に。俺は、あの人は愛のこと大事にしてると思うけど」
 ……珍しく、夕貴が優しい。
 香月は、その言葉を頼りに、携帯電話を出した。充電は後二つしかないが、もちろん電話は十分にかけられる。
「……もしもし?」
 コールは5回ほどで出てくれた。この時間なら、仕事が終わっている可能性は五分五分か。
『ああ、どうした?』
「今、仕事?」
『もう少し』