その行動の意味は分からない。
 すぐに彼は、何故か、すっと、体全体を引いて、もう一度ソファに座った。
「僕が、……あなたに近づいた分、巽に近づこうとしているのなら、僕が責任を負うべきなんです」
「そんな正義感……私には全く必要ありません」
 紺野と関わると必ず悲しい想いに囚われる。
 香月はさっとその場から立ち去り、歯を食いしばって流れる涙を少しでも留めようとした。