香月は立ち上がった。
「それは、だから……」
「ええ、申し訳ないって思ってるんでしょ?
 思ってほしいです。
 後悔するべきです」
 悲しかった。言いたいことはそんなことではなかった。
 だが、思いのほか、自分がそんなことを根に持っていたことを知った。
「香月さん、お願いします。僕のことと、坂上の妹のことは、関係ない!」
 紺野も同じように立ち上がった。その、あまりにも必死な懇願に、優しく応えてあげられないのは、どうしてだろう。
「……私の中では同じですよ」
「警察を敵に回してどうするんですか、あなただけでも、まともに生きていくべきなんじゃないんですか!?」
 紺野はぐいと両腕を掴んで揺すってきた。
「巽だって、リュウさんだって、私の中では同じ人です!!
 もしかしたら、裏で悪いことをしているかもしれない、けどそれは、私には、関係ないんです!」
 はっきりと、紺野の目を見て言った。
 それが間違いだったのだろうか。
 彼は、勢いよく顔を近づけた。
「!?」