「……言ってあげたら? 警察が来たよって。チャンスかもしれないよ。その、親しい男っていうのが、悪い男の可能性が高い。だろ? わざわざ警察が捜してるんだから。
その男から救えるチャンスかもよ」
思ってもみない発想に、ハッとした。突然心臓がうるさく鳴り出す。
「お待たせいたしました」
注文した料理がようやく運ばれてくる。
「はい、これ番号」
永井は携帯のディスプレイを明るくした。
「……俺がかけていいかな」
「俺食べてるし、主に警察と会話したの、涼屋じゃん」
それは少し違う気がした。
だけど今は永井がそう言ってくれるのなら、それでいい。
涼屋はディスプレイの文字を自分の携帯に保存すると、席を立ち、店の外に出た。
コールは5回鳴る。出るまで鳴らすべきかどうか考えていると、10回目で、ようやく彼女は電話に出た。
「もしもし、人事部の涼屋です。昨日はお疲れ様でした」
『ああ、お疲れ様でした。ほんっとすみません……、次回は改めて私にご馳走させてください』
「ああ、いえ、それは、はい。じゃあ……」
『……あぁ』
社交辞令のつもりだったのか、思いもよらぬこちらの素直な言葉に、香月は言葉を失ったようだった。
「いや、あのですね」
『はい』
「今お時間かまいませんか? お急ぎはでないですか?」
『はい。大丈夫ですよ。家でテレビ見てただけですから』
不覚にも、パジャマ姿で寝そべっている無防備な様を妄想してしまう。
「……あの、今永井と食事にきてるんですけど。ここへ来てることは、おそらく誰も知らないんですけど、突然芹沢という警察の人が来て、ですね……」
その男から救えるチャンスかもよ」
思ってもみない発想に、ハッとした。突然心臓がうるさく鳴り出す。
「お待たせいたしました」
注文した料理がようやく運ばれてくる。
「はい、これ番号」
永井は携帯のディスプレイを明るくした。
「……俺がかけていいかな」
「俺食べてるし、主に警察と会話したの、涼屋じゃん」
それは少し違う気がした。
だけど今は永井がそう言ってくれるのなら、それでいい。
涼屋はディスプレイの文字を自分の携帯に保存すると、席を立ち、店の外に出た。
コールは5回鳴る。出るまで鳴らすべきかどうか考えていると、10回目で、ようやく彼女は電話に出た。
「もしもし、人事部の涼屋です。昨日はお疲れ様でした」
『ああ、お疲れ様でした。ほんっとすみません……、次回は改めて私にご馳走させてください』
「ああ、いえ、それは、はい。じゃあ……」
『……あぁ』
社交辞令のつもりだったのか、思いもよらぬこちらの素直な言葉に、香月は言葉を失ったようだった。
「いや、あのですね」
『はい』
「今お時間かまいませんか? お急ぎはでないですか?」
『はい。大丈夫ですよ。家でテレビ見てただけですから』
不覚にも、パジャマ姿で寝そべっている無防備な様を妄想してしまう。
「……あの、今永井と食事にきてるんですけど。ここへ来てることは、おそらく誰も知らないんですけど、突然芹沢という警察の人が来て、ですね……」

