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涼屋が永井を焼肉に誘ったのは、これがはじめてである。ラーメンを奢ったことはあるにはあるが、それでも割り勘がほとんどの独身社員だ。
テーブルに対面して腰掛け、2人がメニューを注文した後で、涼屋はようやく話しを切り出した。
「昨日はありがとう」
もちろんその表情は沈んでいた。
「それは別にいいけど、どうした? あれからどうなった?」
「どうもこうも……。あの後すぐあの男だけが帰って来て。ちょっとしたことで彼女を怒らせて帰らせてしまったからお詫びに食事代を支払いますって一万円出してきた」
「、え゛―!!??」
「受け取れませんって言ったら、そのまま引いて帰ったけど」
「……元彼?」
「分からない。どうして彼女を怒らせるようなことを言ったんですかっ聞いたら、一瞬黙って、どうしても確認したいことがあったって」
「……なんだろうなあ……」
永井は真剣に考えを巡らせているようだ。
「全然分からん」
「香月さん、フロアで会うには会ったけど、何も言ってなかったけど」
「俺も昨日の夜から見てない」
「今日はなんかまた牧のところに行ってたし。俺も余計なことは言わない方がいいと思って、メールとかもしてないし」
突然、永井の携帯電話がテーブルの上でブルブル震えた。
涼屋が永井を焼肉に誘ったのは、これがはじめてである。ラーメンを奢ったことはあるにはあるが、それでも割り勘がほとんどの独身社員だ。
テーブルに対面して腰掛け、2人がメニューを注文した後で、涼屋はようやく話しを切り出した。
「昨日はありがとう」
もちろんその表情は沈んでいた。
「それは別にいいけど、どうした? あれからどうなった?」
「どうもこうも……。あの後すぐあの男だけが帰って来て。ちょっとしたことで彼女を怒らせて帰らせてしまったからお詫びに食事代を支払いますって一万円出してきた」
「、え゛―!!??」
「受け取れませんって言ったら、そのまま引いて帰ったけど」
「……元彼?」
「分からない。どうして彼女を怒らせるようなことを言ったんですかっ聞いたら、一瞬黙って、どうしても確認したいことがあったって」
「……なんだろうなあ……」
永井は真剣に考えを巡らせているようだ。
「全然分からん」
「香月さん、フロアで会うには会ったけど、何も言ってなかったけど」
「俺も昨日の夜から見てない」
「今日はなんかまた牧のところに行ってたし。俺も余計なことは言わない方がいいと思って、メールとかもしてないし」
突然、永井の携帯電話がテーブルの上でブルブル震えた。

