絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ

 自信を持って答えられる質問があって、良かった。
「けどエレクトロニクスで聞きましたよ。あなたはほとんど仕事もしていないのに、花形部に配属された、と」
「……」
 誰が、そんなことを?
「会社にもあなたの意見が通るんでしょうか?」
「だとしたら、とっくに辞めてます。もういいでしょう? 帰ります。私が話すことはもうありません」
「辞めたくても辞められないんですか?」
「芹沢さん」
 突然ここで新人が声を出した。
 あそうだ、紺野という名前は偽名だったか。
「……」
 紺野も新人を睨んでいる。
「あの、香月さん、あの……見て下さい」
 坂上は何を思ったか、一冊のシステム手帳を取り出すと、既に開いてあったそのページを見せた。写真が大きく一枚、きちんとはりつけてある。
「……」
 なんだ?? ただの家族写真に見える。
「何ですか?」
 香月は正直に、うんざり顔で聞いた。
「これは、私の家族の写真です。父、母、私、妹です」
 見れば、分かる。