ここから墓地までは近い。車はぐんぐん坂道を登り、思い出話の暇もなく、すぐに墓地庭園にたどり着く。ここへ来たのは数日振りだ。月命日には必ず参りに来ているのである。
リュウは墓地に入ってからは何も言わず、ただ淡々と線香を上げた。その、慣れた手つきに途中で、ああ、そういえばこの人は中国の人だったんだと思い出す。線香の上げ方も勉強したんだろうか。
その後も、ただ階段を降りる。だが、その途中、足が止まった。
彼が見つめる方向には、2台の黒塗りの車が見えた。香月達が乗って来た後ろに、まだ部下の車が着いてきていたのだろうか。
だが、リュウはすぐに口を開いた。
「やれやれ。静かに墓参りをしたかったのに」
そして、彼はくるりとこちらを向いた。
「ここでお別れした方がよさそうです。実は私は、この後もまだ用があります」
「あっ、すみません、どうも今日は本当にどうもありがとうございました。彼女も報われたと思います」
「それは、良かった」
ってここで残されても私、……困るんですけど。
ところが車が見えるところまで降りてきて分かった。なんと、リュウの車の後ろに付けている車の外には、風間が立っている。
「えっ、風間さん!!」
思わず叫んでしまう。
「……」
だが風間の表情は硬い。
「では香月さん、ごきげんよう」
リュウはそのまま静かに前の車に乗り込んでしまう。
「あっ、はい、どうもありがとうございました!!」
香月はリュウに感謝の意を述べると、すぐに風間を見た。
リュウは墓地に入ってからは何も言わず、ただ淡々と線香を上げた。その、慣れた手つきに途中で、ああ、そういえばこの人は中国の人だったんだと思い出す。線香の上げ方も勉強したんだろうか。
その後も、ただ階段を降りる。だが、その途中、足が止まった。
彼が見つめる方向には、2台の黒塗りの車が見えた。香月達が乗って来た後ろに、まだ部下の車が着いてきていたのだろうか。
だが、リュウはすぐに口を開いた。
「やれやれ。静かに墓参りをしたかったのに」
そして、彼はくるりとこちらを向いた。
「ここでお別れした方がよさそうです。実は私は、この後もまだ用があります」
「あっ、すみません、どうも今日は本当にどうもありがとうございました。彼女も報われたと思います」
「それは、良かった」
ってここで残されても私、……困るんですけど。
ところが車が見えるところまで降りてきて分かった。なんと、リュウの車の後ろに付けている車の外には、風間が立っている。
「えっ、風間さん!!」
思わず叫んでしまう。
「……」
だが風間の表情は硬い。
「では香月さん、ごきげんよう」
リュウはそのまま静かに前の車に乗り込んでしまう。
「あっ、はい、どうもありがとうございました!!」
香月はリュウに感謝の意を述べると、すぐに風間を見た。

