「驚きました。中国マフィアとの交流もある……、一般人のあなたが。彼らを自由にすることができる」
「そんな……そんなわけないじゃないですか……。偶然の重なりで食事に行っただけです。向こうの人とは今は連絡も取っていません」
「今、京都に来ていることは?」
「そんなこと、私に関係ありません」
「……」
「もういいですか?」
 紺野を見上げた。彼は、こちらをじっと見つめている。
「巽光路と名乗る男は本当にやめておいた方がいい。身のためです」
「……あなたが言うのなら、そうかもしれませんね」
 香月は完全に戦意を喪失して、立ち去った。
 颯爽と。
 もちろん、振り向くことなど、あるはずがない。