しかしまぁ、なんてことはない。

扉の先にはただ、こじんまりとした6畳ほどの和室が広がっているだけだった。

安堵が半分、期待ハズレが半分。
そんな気持ちで、何も無い部屋をぐるりと見回す。


すると、ふと。

足元に落ちているピックに気が付いた。
自分も音楽をやっているせいか、思わず拾い上げてしまう。


「おーい、あきー。何やってんの?早く帰ろうよ~。」

「あー、すぐ行くー。」

タイミングよくかけられた司の声に急かされ、そのままピックをポケットにねじ込んだ。