入り口のドアは壊れており、拍子抜けするほど簡単に俺達の侵入を許した。


中に足を踏み入れると、古びた廊下は一歩進むたびにギシリギシリと嫌な音を立てる。

まるでホラー映画さながらのその音は、さっきまでガキみたいにはしゃいでた司から笑顔を奪い、

もともと口数の多くないドラムの慶吾をさらに無口にさせた。


さらに。

蜘蛛の巣に驚いた司が大袈裟にしりもちをついたかと思えば、
隣の慶吾まで腐った床に足を取られ、普段の彼からは想像もできないような情けない叫び声を上げる始末。


なんとか廊下の端まで辿り着き、皆が早々に引き返そうとしている時。

俺だけは、なんとなく一番奥の部屋のドアを見つめていた。
特に何か意味があったわけではない。

俺はほとんど無意識に、そのドアに手をかけていた。