機械仕掛けの心の行方

昼を過ぎ、夕方になっても彼は帰ってこなかった。

おかしい、今日は特に何の用事もないはずだ。

まさかまた何かあったのか。

近くに様子を見に行くべきだろうか。

しかしその間に彼が帰って来てしまったら、対応が遅れてしまう。

こういう時に応用性がもう少しあれば、と思う。

想定されていないことが起きると、ちっとも対応できやしない。

それでも少しは学習を積み重ねてきたというのに。

やはり探しに行くべきか、とようよう判断を下しかけた頃である。

彼がまた、傷だらけの姿で帰ってきた。

しかし昨日のように泣いてはいない。

傷だらけでありながら、それでも笑っていた。