機械仕掛けの心の行方

息子はすくすくと育っていった。

人間の手を借りずに、人の子を自分が育てられるだろうか。

実例はいくつかあった。

しかし、その例が自分にも該当しうるだろうか。

そんな不安をよそにして、彼は順調に成長していった。

嫌いな物も自ら進んで食べるようになった。

学校に入学し、成長するにつれ、外に友人もでき、明るくなっていった。

私はそのことを、逐一マスターに報告しに行った。

この行為に何の意味があるかは分からない。

けれど、息子がそうして欲しいと言ったから、私はそのようにした。



命令ではない。



けれど、彼が私に頼んだ。



ただそれに応えたいと、そう思った。