「……目は覚めたかい?」


誰かからの呼び声に反応し、私は閉じていた瞼を開いた。

目が覚めたというのは適切な表現ではない、が、あえて訂正することでもない。


「はい、おはようございます」


五感のセンサーが徐々に動き出し、自分が置かれている状況、メンテナンス状況などが自動でチェックされる。



まず視界に入ったのが、私を起動させたであろう人物の姿だった。



あまり手入れの行き届いていない頭髪と、深く刻まれた笑い皺が特徴として挙げられる男性だった。