両想い片想い



「こんにちはー」


喫茶『ボヌール』
そこで私はバイトしている。

家から近くバイト代も結構でるので気にいっている。
それになんと言っても店長さん!

この人がいるから私がここに居るといっても過言ではない。


何故なら、大概のことならOKしてくれる。
よく言えばいい人。
悪く言えば適当。

そんな人だからこそ私は偽名で働けている。


「お、来たか。雛森」

「すみません、遅くなってしまって」

「いや、別に構わん。
ぶっちゃけいつ来ようがどうでもいいからな」


.....いや、ただのめんどくさがり屋といった方が的確か。


『雛森綾』ここでの私の名前だ。
ただ苗字と名前をちょっといじって反転させただけの単純な名前だ。

まぁ私が『綾瀬ひなの』だとばれなければいいけど。


まだ私が本名で働いていた時の事、私は同じクラスの男子にこの店で働いてることを知られ、さんざんからかわれたのだ。

大事なお客だからちゃんと接客しないといけない。
かと言って口を開けば緊張して毒を吐いてしまう。

さんざん悩んでから私はこの店を止めることを決意した。
そしてそのことを店長さんに告げたときに言われたのだ。


「だったら偽名使えば?
あと、軽く変装でもすれば誰もお前だと気づかんだろう。
ほれ、これ貸してやる。心配すんな、伊達だから」


そう言って眼鏡を渡された。赤いフレームのちょっと洒落た眼鏡。
頭よさそうに見えるからと店長さんが時々かけるものらしい。

それから私はこの伊達眼鏡をかけ、髪は後ろでお団子にして雛森綾として働いている。