「お邪魔しまーす」

結愛は誰もいない家に挨拶をした。

「いいよ。誰もいないから」

「えっ!?」

結愛は驚いた顔をする。

俺はクスクスと笑った。

結愛は天然でバカでかわいくて…。

でも、それでよかった。

俺はそんな結愛が好きだから

結愛か愛しくて愛してるから。

階段を上って

クーラーの聞いた部屋に二人。

気まずい空気が流れた。

「案外健太の部屋ってきれいなんだね」

「うん」

「居心地いいなぁ」

「そうかなぁ?」

会話もまともに続かない。

さっきまであんなに話してたのに。

メチャメチャな会話でも

長く続いてたのに。

“部屋”“2人”

そんな空間が2人の会話を止めた。

ただキミをハグすることもできずに

手を繋ぐこともできずに。

キミにいつもみたいに

甘いキスなんかできるわけもなかった。

結愛が話し出した。

「健汰…?」

「ん?どうした?」

「4時まであと2時間しかないよ」

「結愛…寂しい?」

「そんなこと聞かないで」

結愛のいつもと違う声