『えっと・・・509号室ってどこですか・・?』

『五階の1番奥になります。』

『わかりました。』



エレベータを使って、五階まで上がって 長い廊下を歩く。

「・・なっげぇ廊下だな。」

「うん。昔、早く会いたくてここの廊下走って、何回も怒られたの。」

「・・・璃裡らしいや。」



もうあの時のように、走ったりはしないけど だんだん歩く速度が早くなってくる。

早く、早く会いたくて。


「あった!」

「・・・ここ?」

「うん。よかったぁ・・。あの頃から病室変わってなくて。」


あたしはほっと一息ついた後 コンコン、とドアをノックした。

『どうぞー?』

あの頃にはきこえなかった 元気のいい奏の声がする。

『お邪魔します。』

あたしは、がちゃ、と ドアを開けて、病室へはいった。