「ふ、ふぅっ・・・。」

「・・お、おい・・。」

ステージを降りてから、

あたしはすばやく翔人を見つけて、ぎゅっと腕をつかんだ。

もう、何かにつかまらないと

倒れてしまいそうだったから。

「・・・璃裡?」

「んっ・・・。も、だめ・・・。」

「・・おいおい。よく最後までピアノできたなぁ・・。でも。」

“お疲れ”


その言葉だけしか

もうあたしの頭には入ってこなくて。

本当に終わったんだなって

それさえも実感がなくて。


あたしは、もう限界と言わんばかり

意識を手放した。