頭の中は真っ白なのに

まるで指が勝手に動いてるかのような

不思議な感覚。

歌うように流れる旋律は

いつもよりももっと、きれいで

見ている人なんて、忘れているかのように

美瑠ちゃんの指揮だけを見ていた。



そして。

最後の曲のところが終わって

あたし達のクラスの発表は終わった。

ぺこり、と美瑠ちゃんが礼をすると

また拍手が鳴り響いた。


意識が朦朧としているなか

とりあえずいすから立って、列の後ろに並ぶ。

平然と歩いているように見えるかもしれないけど

心臓はばくばくいってるし

足元もおぼつかない状況。

でもせめて、ステージからは

ちゃんと降りないと。