「・・・璃裡。」

「ん?な、何っ・・・?」

「・・・落ち着け。大丈夫だから。」

このやり取りも、朝だけでもう

何回目かわからなくなっていた。

それくらい、本番ときいただけで

緊張していたのだ。


「ほら、体育館移動、始まったぞ。」

「う、うんっ・・・。」

楽譜を持つ手は、プルプル震えていて。

自分でも、もう押さえが利かなくなっていた。

「・・・大丈夫、俺が見ててやるから。」

「う、んっ・・・。」

大丈夫、大丈夫

頭の中では、わかってるのに。

心は落ち着かない。

身体は、そんなに簡単に言うことをきいてくれないのだ。