それから、また数週間のときが経って。

文化祭当日に近づいてきていた。

みんなの練習にも気合が入ってきて、

一致団結!って感じ。


「璃裡ー。伴奏やってー。」

「んー!今行くー!」

教室に置かれた、1台のキーボード。

練習はとりあえずこれでやるんだって。

本番は、グランドピアノなのにね。

「じゃ、いくよー。」

あたしの前奏が始まって、みんなの歌声が

教室にこだました。

カラオケ好きが集まっているのかなんなのか

歌の完成度は、ほぼ完璧。

後はあたしが

本番失敗しないといいんだけど・・・

って感じ。



「よし!今日はここまでー!」

委員長の声が、教室に響いた瞬間

皆は一斉に帰る準備をはじめた。

歌の練習をするのは、決まって放課後だからね。

「璃裡ー帰ろー。」

「うん、今行くー。」

あたしはにこっと笑ってから

苺ちゃんの後についていった。


手が震えるのを、抑えながら。