こうしてあまり眠れないまま朝がきた。
僕は帰る準備が終わって時計を見た。
まだ6時半か…。
いや、もう6時半だと言うべきか。
電車は後、30分もすれば動く。
清水はきっと寝てるよな…。
僕は小さなメモに言えなかった事を
この部屋に書き残した。
「ありがとう…清水。」
隣の部屋のドアに笑いかけて小さな声で呟いた
―――ガラッ…
僕はこの大きな家から出た。
そして、駅に向かって歩こうとした。
すると…
「おい…息吹?」
瞬の声が僕の足を止めた。
こいつ、窓から僕を見張ってたな~!
「朝、早いね。何か用?」
僕は平然として瞬の窓の方を見た。
すると、瞬は真顔で僕の方を向いた。
「言いたい事は自分の言葉で
言わねーと相手に伝わんねーよ?」
瞬は僕にそう言って小さく笑った。
確かに瞬の言う通りかもしれない。
でも清水は瞬が好きなんだ。
だから…
「良いんだ、これで。
僕にはこれ位の事しか出来ないから。」
そう言って、僕は瞬に背中を向けて、
また歩きだした。