私は家の中に入ってもう一度携帯を見直した。


そこに浮かび上がる『息吹くん』の文字。


何で電話してきたのかな…?

私はそんなことを思いながら電話に出た。


「もしもし…?」


『あっ清水、ちょっといい?』


「何よ…?」


『えっと電車、事故で止まっちゃって…。』


「もしかして…帰れないの?」


『……うん。』


や…やばい…緊張で声が震える…。


「待ってて。今、そっち行くから!!」


『え…清水!?』


プーップーッ…


私は携帯を切った。


そして家を飛び出した。


息吹くんの元へ走り出した足が止まらない。


これは一体何?

声を聞いただけで、ドキドキするのは何で?

このままこの気持ちを隠すのは辛いよ……



ーーねぇ…息吹くん。この気持ちに気づいてよ。



私は息を切らせて立ち止まった。

駅に着いたんだ……。


そこに彼のしゃんとした立ち姿が見えた。


私はそんな彼に近づいていった。


「はぁ…はぁ…。」



やっぱり全速力はキツかったかな……


「清水…。何で?」



息吹くんがとても驚いた顔をして

こちらを見ていた。


「分かんない。ただ…」


「…………?」