そして、僕が走り、たどり着いたのは

あまり目立たない小さな小屋の前…。



そんな小さな小屋の前に心愛が1人立っていた。



「こ…心愛!?」



僕はポカンとして心愛に声をかけた。


すると、心愛は驚いたようにこちらを向いた。



「えっ息吹?何でここに…?」


「いやっ…僕にも分からないんだ。
たただも考えずに必死で走ってたから…」


「何かあったの…?」


「――…うん。」


「話してみて…?」


心愛はちょこんと近くのベンチに腰掛けて、

僕に優しく微笑んだ。


僕はホッとして、心愛の隣に座った。


「僕、分からないんだ…。心愛が好きだよ?
だけど清水が昴といるのにイライラして…」


「うん…。それで息吹はどうしたいの?」


「分からない…。」


「そっか。」


「昴の奴が清水を連れて行きやがったんだ!!」


「それで…息吹はどう思ったの?」


「分からない…ただ気に入らなかった」


「そっか…。」


そう言ってニッコリ微笑む心愛。


心愛は何かに気づいた様な顔をして

ベンチからそっと立ち上がった。


「つまり、真凛ちゃんがいなきゃ、息吹は
嫌って思ってるって事なんじゃないの?」


「…………」


僕が、清水がいないと嫌だと思ってる………?


「ちゃんと真凛ちゃんと話しておいで。」


「うっ…うん。」


「いってらっしゃい、息吹……。」


僕は何だか分からないけど走り出していた。


その足が止まらぬ早さで…