週末の薬指

しばらくソファで触れ合ったあと、夏弥さんと私は交代でシャワーを浴びた。

一緒にシャワーを浴びようとする夏弥さんをかわすのに一苦労したけど、それすら悩んでいた時間を補うにあまりある甘い時間に思える。

夏弥さんの濡れたままの髪が顔にかかって、普段よりも色気と艶のある雰囲気が漂う。

それはまるで女の子を惹きつけるためにそうしてるのかと。

思わずため息。何人の女の子がこんなけだるそうな夏弥さんを目にしてくらくらとなったんだろう。

きっと、その姿に目が釘付けになり、言葉を失った女の子は私だけじゃないはず。

色あせたジーンズとグレーのトレーナーを着ているだけなのに、見入るくらいにいい男だ……。

「そんなに見なくても、逃げないけど?」

くすくすと笑いながら、テーブルの上に並べたお惣菜たちを箸でつついている。

おばあちゃんに持たされたものは、全て夏弥さんの好物らしくその目は嬉しそう。

何度か我が家で食事をしたことがあると言っていたけど、こうして幾つもの好物を用意できるくらいだから、かなりの回数だと思う。

おばあちゃんが瀬尾さんと知り合ったのは七年前だから、それ以来ずっとなのかな。

「このマカロニサラダが大好きなんだよな。俺好みにコーンをたくさん入れてくれてるのも嬉しいよな。
あ、花緒も覚えておいて。で、鯖の煮つけ。生姜が効いてて抜群なんだよ……これも、今度作ってよ」

明るい声を上げながら箸をすすめる夏弥さんにお茶を淹れて、私も食べようかと座った時。

リビングの大きなテレビから聞き慣れた音楽が流れてきた。