週末の薬指

拘束されていた手は夏弥さんの背中に回されて、縋りつくように体全体を預けながら、与えられる熱に酔う。

「花緒……もっと必死になれ」

角度を変える合間の夏弥さんの言葉に更に煽られて、私が求めているのか求められているのかわからないキスを何度も重ねて。

夏弥さんの指先が私の胸をつつっとなぞる。

「んっ……」

瞬間感じる刺激に体は跳ねてしまう。そしてもっと深いキスを落とされて。

それだけで、私は夏弥さんのものだと感じる。

そんな単純な自分を初めて知って、妙に嬉しい。

「なつや……」

呼び捨てでそう呟くと、私を抱く腕の力が強くなるから。

「なつや、…なつや…」

何度もそう呼んで、不安な気持ちを押しやろうとした。