週末の薬指

次に目が覚めた時には、カーテンの向こうからの明るい光が部屋に差し込んでいた。

夜明けからは既にかなりの時間が過ぎているようで、時計は7時を表示している。

「あ、私……瀬尾さんと……」

勢いよく体を起こして、隣に視線を向けた。夜明け前目が覚めた時には私を抱きしめて眠っていた瀬尾さんの姿はなかった。

ただ、確かに瀬尾さんがそこにいたとわかるベッドに残されたくぼみを見て、夕べの熱さが体によみがえってくると同時に、ほっとした気持ちも感じる。

最初は瀬尾さんから求められて、戸惑いながらも応じただけの私だったけれど、体温が交じり合うとすぐに戸惑いは小さくなった。

瀬尾さんに感じる違和感と聞けずにいる不安がなくなったわけではないけれど、私の気持ちが瀬尾さんに向かっていると認めてしまえばもう堕ちるのは早かった。

瀬尾さんに負けないくらいに体を揺らして求め、瀬尾さんの背中に回した指先は彼の背中に赤い線を何本も残したと思う。

ぐっと爪を立たせた記憶が生々しく残っている。

「何度、愛してくれたかな……」

気を失うほど抱かれた回数なんて覚えてないけれど、ふと口にしたその言葉に、自分で照れてしまう。