週末の薬指

つまりながら、それでも何かを必死で問うシュンペーのお父さんが、最後まで言葉を言い終えるのを待たずに、おばあちゃんは口を挟んだ。

「わかりません。紅花は何も言わずに亡くなったので。紅花とお兄さんとの事は詳しくはわかりません」

それ以上何も聞くな、とでもいうように言い切る言葉がシュンペーのお父さんに届いて、その瞬間再び沈黙が広がった。空虚感。そして漂う切なさ。

おばあちゃんは、シュンペーのお父さんに何度も小さく頷いてこれでこの話は終わりだというように深い視線を送った。

「あ……花緒、さんだね。……おばあちゃんと一緒に暮らしているんだね……」

「あ、はい。そうですけど」

「そうか、そうか……」

何故か涙目の優しい視線が私を包み込む。シュンペーによく似た表情は穏やかで、私の向こうに何かを探しているように感じた。

何かを言いかけては口を閉じ、小さく息を吐いては微かに笑って。

しばらくの間、落ち着かない時間が過ぎて行った。

ここにいる四人、みんなが気づいている事を口にしないまま、ただ同じ空間で向かい合う奇跡を感じて。

その時

『そろそろ始めようかー』