週末の薬指

「で、結婚式の事も考えような。白無垢の花緒が見たいんだけど」

「え?チャペルじゃなくて神前?」

「……ああ、俺は三三九度とかに憧れてるんだけど。……教会がいいのか?」

「ううん、私はどっちでもいい。結婚は自分には縁遠いって思ってたから何も考えてなかったんだ。
そうだね、白無垢に三三九度、一緒にできたら幸せだね」

そう言って微笑むと、夏弥が嬉しそうに目を細めた。

ふと、視界の端に何かが動いた。はっと見ると。

私たちの甘い空気から離れたところで、おばあちゃんが嬉しそうに笑っていた。