週末の薬指

そんな私の気持ちが表情に出ていたのか、夏弥は少し照れたように、でもしっかりとした口調で。

「もう何年も、花緒に夢中なんだよ」

言い切ってくれた。

「あ……うん、ありがとう……」

まっすぐに見つめられて、私も照れてしまう。

何年も、と言われてもぴんとこないけれど、私が一番つらくて落ち込んでいた頃からずっと私を見ていた夏弥だから、半端な思いでそう言ってるわけじゃないってわかる。

「ごめん、もう、携帯の電源切ったりしないから」

「ああ、それだけは、頼む。俺も、ここまで参ってしまうとは思わなかった。
……手に入れるまでは、見てるだけで満足だったのにな。手に入れてしまうと、自分の近くにいないと不安でたまらないな」

「……」
「……」
「……」

何気ないように、淡々と言っている夏弥の言葉に、私もおばあちゃんも、そして蓮さんも言葉を失った。

夏弥には、照れという感情が欠落しているんじゃないのかと、一同顔を見合わせて、肩をすくめる。

私に対する甘い思いを、何のためらいもなく口にする夏弥に、私の方が次第に照れてくるんだけど。