肩をすくめたおばあちゃんは、私たちに背を向けてキッチンへと歩いていった。
残された私は、そっと夏弥を見た。
すると、私の手はぐっと掴まれて引き寄せられて、気づけば目の前には夏弥の顔があった。
いつ見ても端正な顔だけど、少し目がくぼんでいるような気がする。
あれだけ騒がれれば、そりゃあ、疲れるよね……。
自然に動いた手が夏弥のほほに触れて、そっと撫でる。
瞬間びくっとしたその体だけど、私の手を受け入れてくれたように、すっと頬を寄せてくれた。
「そんなに、疲れた?……テレビ、いっぱい出てたよ」
「あー、俺あんまり見てないんだよな。追いかけられてスタッフや梓と逃げ回りながら仕事してた」
「あ、梓……」
「ああ、俺と結婚間近だって騒がれてる梓。だけど、何もない。俺は花緒だけ」
安心させてくれるようなゆっくりとした声に、吸い込まれそうになる。
ずっと携帯の電源を切って、夏弥の声を聞かないようにしていたのに、そんな私の反抗なんて何の意味もなかったように一瞬にして夏弥の声に引き込まれてしまう。
それに、そんな私の気持ちをわかっていたかのような余裕の口調に少し腹が立つ。
残された私は、そっと夏弥を見た。
すると、私の手はぐっと掴まれて引き寄せられて、気づけば目の前には夏弥の顔があった。
いつ見ても端正な顔だけど、少し目がくぼんでいるような気がする。
あれだけ騒がれれば、そりゃあ、疲れるよね……。
自然に動いた手が夏弥のほほに触れて、そっと撫でる。
瞬間びくっとしたその体だけど、私の手を受け入れてくれたように、すっと頬を寄せてくれた。
「そんなに、疲れた?……テレビ、いっぱい出てたよ」
「あー、俺あんまり見てないんだよな。追いかけられてスタッフや梓と逃げ回りながら仕事してた」
「あ、梓……」
「ああ、俺と結婚間近だって騒がれてる梓。だけど、何もない。俺は花緒だけ」
安心させてくれるようなゆっくりとした声に、吸い込まれそうになる。
ずっと携帯の電源を切って、夏弥の声を聞かないようにしていたのに、そんな私の反抗なんて何の意味もなかったように一瞬にして夏弥の声に引き込まれてしまう。
それに、そんな私の気持ちをわかっていたかのような余裕の口調に少し腹が立つ。

