週末の薬指

「おばあちゃん……」

「だから、あんたも紅花に負けず、いい恋愛をしなさいよ。喧嘩して泣いてもいいし、不安になって気持ちをぶつけてもいいじゃないか。きっと、そこから新しい関係も生まれるし、いずれは喜びに変わっていくよ」

そこまで言うと、おばあちゃんは優しく笑ってくれた。

「せめて、紅花が私に与えてくれたかわいい孫の人生、幸せなものになって欲しいじゃないか。
だから、ちょっとおせっかいもするんだよ」

いたずら気味に笑って、湯呑みに残っていたお茶を一気に飲み干した。

その様子に何か違和感を感じて、思わず箸を止めた。

じっとおばあちゃんに視線を向けていると、時計を気にしている様子に気づいた。

ちらりと壁にかかっている時計を見遣る仕草が何度か続いた。