少女は一目見た瞬間に同種であるということを強く感じる風貌で、こちらと視線を合わせようとせず、下を向きながらおどおどと話す姿を見て、とても安心したことを覚えている。


コンニチハ、ハジメマシテ。


そんな形ばかりの挨拶を交わしたきり、僕らは黙り込んでしまった。

互いが互いに何を話せばいいのか分からなかったのだ。

目線が合えばお互いに逸らすこと数分間、ようやく僕達は歩き出した。

周囲は田んぼばかりで、人の姿がほとんど見当たらない。

車の通りも少なく、そのせいなのか信号すら見かけない。

当然、コンビニだってありはしない。

ここの人達は普段どのように生活しているのだろうか。

一体どこまで行けば休める場所があるのだろうか。


蝉の鳴き声が、随分多い気がした。