突然顔面を蹴られて起こされた経験はあるだろうか。

最初は驚くだろうが、皮肉にも人間は学習する生き物だった。

回数を重ねるにつれ、段々と慣れてきてしまう。

痛いものは痛いし、ムッとするけれど。


「起きました?」


声に反応して目を開けると、そこには先ほど僕の頭を蹴り抜いたであろう人物の足があった。

目線を上にずらしていくと僕の知らない学校の制服が目に入り、もう少し頑張って首を傾ければそこには少女の顔がある。

伸ばすだけ伸ばして手入れをしていない、まるで掃除用具入れの中にしまわれている箒みたいにばさばさの黒髪。

髪は彼女の目を覆い隠し、表情は読み取れない。