もしも君が助けてくれたら


「今日?あぁ、来たよ?部活見学」

帰り、秀が曉君の話しをしてきた。

頭の中に弓道を教えたときの映像が流れる。

「弓道、上手だったなぁ・・・」

秀がニヒッと笑った。

「先生から聞いたけどよ、あいつ前の学校でかなり掛け持ちしてたんだってよ!野球部、バスケ部、サッカー部、テニス部、茶道部まで!」

「へぇ、茶道部も」

「だから清潔感があったのね・・・」

奈々ちゃんが納得、というようにうなずいた。

だから背筋が綺麗だったんだ・・・。

茶道をしていると姿勢が美しくなる、といわれて少しやっていたこともある。

やっぱり、弓道似合ってると思うんだけどな・・・。

明日誘ってみようかな、そう思ってた。

その時、携帯の電話がなった。

ドキリと心臓が跳ね上がる。

奈々ちゃんも秀も不安そうにこちらを見る。

私は少し震える手で通話ボタンを押した。

「もしもし?」

「あ、由良ちゃん?鈴木おばさんだけど、最近どう?」

「あ、最近、ですか?」

「そう。お母さんの容態」

「えっと、はい。順調ですけど・・・」

「あら、そう?ところでね、由良ちゃんにお話があるの」

「あ、すみません。ちょっと今友達がいるので後で掛け直してもいいですか?」

「あらあら、ごめんなさいね。じゃ、また後で掛け直してくれる?」

「はい。すみません」

「いえ、いいのよ。じゃ、また後で」

「はい。失礼します」

終話ボタンを乱暴に押した私を二人はまだ不安そうに見ていた。

「何て?」

「誰から?」

私は二人に苦笑を浮かべて制した。