砂漠の水車



「ちょっと待って」



アルファが唐突に立ち止った。


振り返れば、壁に右手をついてじっと煉瓦の細やかな肌を見詰めている。



「ちょっと、ランプ貸して下さい」


「おう」



ヒツギに手渡されたランプで煉瓦の一つを照らすと、何やら文字めいた形の羅列がぼんやり浮かびあがってきた。


しかし、アルファベットの類とは違うようだ。



「なんだこれ、なんて書いてあんだ?」


「この地方の言語でしょうか…僕の頭では翻訳は無理ですね、でも…」



アルファは刻まれた文字を人差し指の腹でなぞっていく。


意外に彫りは深く、呪うように冷たい感覚が体中を這いまわる。




「『果て』」


「あ?」


「こりゃーいろんな言語が混じっていますねえ、あ、英語も交ってる」




なぞる指が下にいくにつれて見慣れた文字も出てくるようになった。


文脈や文法はどうなってるんだ。