「お爺さん、街の人ですよね。
ここでドンパチやらかしたアフガン軍はどこへ行きましたか」
「はっ……」
アルファは老人の肩を掴み、瞳を覗きこむように背をかがめて顔を近づけた。
「再度言いますが僕らは英国兵ではありません。
ですが、どうしても助けなければならない人がいます」
「………お前たち、………西洋人か…」
老人はやっと声を発した。
低く、しかしぜえぜえと肺が悲鳴を上げるのでひっくり返った声になっていた。
「…帝国、騎士団」
グレンが名乗る。
「騎士<シュヴァルツ>?」
「ええ」
「そう、か…」
老人は、うんうんと何度も頷いて、汚れも影もなく微笑んだ。
帝国はあくまで英国の肩を持っている。
しかし、慈善を騙りたがる帝国は一般市民を手厚く積極的に保護している。
だからこそ帝国人に会うと戦地の一般市民たちは「助かった」と一息つくのだが、所詮帝国の慈善は「偽善」。
無謀に怪我人を抱えたがる、現地の軍からすれば厄介者であるが。


