「離してやんねーからな?」 「離さないで下さいね」 しれっとこんなことを言いやがる。 「帰りましょうか、仏頂面なお姫様」 俺はいつの日かと同様、有川に手を差し伸べる。 「ええ。私に勝てない王子様」 ……生意気な。 こんなこと言えるの有川ぐらいだぞ? 「そんなこと言えるのも今のうちだからな」 俺は相手にされない王子様。 彼女は相手にしないお姫様。 「――昴。分かってますよ」 でも、そんな2人は甘い関係――…。 ー終ー