夜に舞う桜~夜桜~

下から、こっちに向かってくる足音が聞こえる。


相変わらずくるの早いな〜。


なんて、のんきに考えられるのは、この足音の正体がわかってるからこそだけど。


敵じゃないし、むしろ味方だしね。


「社長!いなくなったと思ったら!」


うん、来てくれたのは嬉しい。


だけど、もう少し静かに上がってきてほしかったな。


「蓮!?」


お父さんを睨んているこの人は、蓮さんと言ってお父さんの秘書をしている人。


すごく優秀な秘書で、お父さんの見張り役でもある。


お父さんはよくこうやって抜け出すからね。


「蓮さん。どうせ仕事抜けて来たんでしょ?連れて帰って」


「お嬢様。…あの、社長に今日の事は…」


「言って…」


あれ、じゃあ、なんで知ってるの?