「――その写真の国が、戦争の発端よ」

「………」

あの写真を見た時、もしも行けるのならば、あの千年桜がある国へ一度でもいいから、行きたいと思った。
そして願った。まだ、あの大樹が生きていますように、と。
きっと素晴らしい国だったのだろう。そして、いい国だったのだろう。
なぜか、そう思った。なのに――……。

「……その国はね、他の国と仲が悪くなっていて、いつ戦争が始まってもおかしくない状況だったの」

けれどどの国も、戦争が起きてしまうのは避けたかった。だからお互い考え直し、協約を結びましょう、と代表国は手を差し伸べた。
それなのに――。

「ある日、その国はある〝兵器〟を、他国に見せ付けた。そして宣言したの。〝この兵器がある限り、我が国が負けることはない〟と。そしてそれを証明するために、その兵器を使って……ある無人島を、いとも簡単に破壊した」

( どうかこの世界は、歪んでしまわないように )

脳裏に響く、彼らの声。

( K1025――君こそが、我々人間の、最後の光だ )

彼らは喜んだだろう。自分たちの努力が報われて。
彼らは安心しただろう。もうこれで、〝人間〟が滅びることはない、と。

そして彼らは、考えたこともないだろう。コア(私)の気持ちなんて。