百鬼夜行の主




『啾瑠…だったよな。お前、俺みたいな妖怪を怖いとかおもわねぇの?』


鬼李が静かに聞く。啾瑠は不思議そうに首をかしげた。


「何であなたに恐怖を持つんでしょうか?」


『は?』

鬼李は意味が分からないと言わんばかりの顔をした。啾瑠が小さく微笑む。



「あなたは私を救ってくれた人です。たとえ妖怪だったとしてもそれに変わりはありません。恩人を怖いと思いませんよ。それに…」


啾瑠は鬼李の頬に触れた。


「鬼李さんは優しいし、温かいですから。それで怖いと思わなかったみたいです」


啾瑠が頬を染めながら、控えめに微笑んだ。