窓に向かって飛び込み、部室から出る。すさまじい破壊音とともに、風がやんだ。 頬に鋭い痛みが走る。どうやらガラスで切ったようだ。 「妖怪だったなんて誤算だったよ…しかも変化できるほどの上級の妖怪なんてね…」 『そりゃそうだろ。私は人間に化けるのが得意だからね…』 部室だった場所から、姿を現したのは烏天狗(からすてんぐ)だった。 身体に風を纏い、黒い翼をはばたかせる。鋭い眼光が私に向けられる。