そんなことがあったわけで、私の家に妖怪が来ることなんて当たり前の状況にいちいち驚くことなどしなくって、 『驚いてくれた方がうれしいんですが~』 大首がのんきなことを言う。 「私が驚いたら妖怪の主としての威厳もくそもなくなるでしょ」 私は男物の洋服に着替え、髪を結いあげた。 『確かに、主様が妖怪を怖がったら威厳もくそもないですね~』 大首がゆっくりという。 「じゃ、今夜も百鬼夜行としゃれこみますか」 私は屋根から飛び降り、夜の街を歩きだした。