傷の治療を終え鬼灯が救急箱に器具を片付ける。私は再び俯いた。 鬼灯に言われた言葉が、頭をよぎる。 自分が普通の人間なのは知っている。ただ、妖怪をひきつける力を持っているだけの人間なのはだれよりも知っている。 しかし…それと同時に自分の存在が怖くなる。 「…鬼灯」 『どうなされましたか?』 救急箱を片づけていた鬼灯が手を止め、私をじっと見る。私は俯きながら、口を開いた。 「…馬鹿な話かもしれない…」 そう前置きをして、私は言葉を紡ぐ。