『あなたも一応は人間なのですよ?私たちみたいに傷の治りが早いわけでもなければ毒や薬に強いわけでもない。それを分かっておいでですか?』
「…知ってる。私が特殊でも人間だってことは…」
知っている。自分がただの人間だということは、あの刀…「魔天楼」がないと戦うこともできない、寄せ付けるだけの人間だということは自分が一番知っている。
私は俯いた。自分が情けない。情けなさを痛感して、涙が出そうだった。
「…すまないな、鬼灯…」
礼しか言えない自分が情けない。震える声を必死に抑えて私は鬼灯に言った。
『礼などいりません。あなたは私達を救ってくださったお方です。恩返しなんですから。これは』
包帯を巻き終え、鬼灯が微笑む。
「…あぁ」
涙が出そうなのを必死にこらえ、私は鬼灯に向けて微笑んだ。


