百鬼夜行の主


SHRが終わるや否や、男子が立ち上がる。理由は無論、雪羅に話しかけるためだろう。

そう思った矢先、男子が雪羅の近くに群がり始めた。

「雪羅ちゃん、どこから来たの?」


「彼氏いる?よかったらメアド交換しない?」


「橘さん、ぜひ我が野球部のマネージャーになってくれないか!?」


男子の質問攻めの中、私は雪羅の腕を掴んだ。雪羅と男子達は目を丸くしながら私を凝視する。


「雪羅、ちょっと来い!」

雪羅を強引に立たせ、私は引きずるようにして歩かせる。

「おい、五十嵐!何やってんだよ!」


「俺ら、まだ橘と話してるじゃねえか!」


男子達の五月蠅い声を無視する。


「えっと~皆さんまたあとでお話ししましょう~」


雪羅が男子達をなだめると、男子達は鼻の下を伸ばして顔を緩ませた。そんな姿を横目で見ながら私は急いで教室から出た。