「四月朔日君」 私は平然を装って四月朔日君に声をかけた。 「あ、五十嵐。どうしたんだ?」 どうやら、昨日のことを熱弁していたせいか若干興奮気味だ。 「その写真、私にも見せてくれませんか?」 あまり親交がなかった所為か、四月朔日君が少し不思議そうな顔をする。 「別にいいぜ」 しかし、意外にも四月朔日君はあっさり携帯電話を私に渡した。 「有り難うございます」 私は静かに微笑み、ディスプレイを見た。