少年の見た目は平凡だった。 髪の色が茶色(たぶん地毛だろう)というところ以外、特に目立った見た目でもなくどこにでもいるような人間だった。 「頬、血がついてるぞ」 私は少年にハンカチを渡した。 少年が無言で受け取る。私は再び少年の顔を覗き込んだ。 そして、私は息をのんだ。 その少年は、自分と同じクラスの四月朔日 雨月(わたぬきあづき)だったからだ。 もし自分の正体が知られたらやばいと、本能で感じ取った。